【第2回】食後にぼーっとする・元気がなくなる…門脈体循環シャント(PSS)で見られる症状とは

こんにちは!国分寺ハートアニマルクリニックです!
第1回では、門脈体循環シャント(PSS)がどのような病気なのかについて解説しました。
今回は第2回として、PSSで見られやすい症状や、飼い主さまが日常生活の中で気づきやすい変化について詳しくお話しします。


門脈体循環シャントで症状が出る理由

肝臓の働きが十分に発揮されない

解毒がうまく行われない状態

PSSでは、腸から吸収された血液が肝臓を通らずに全身へ流れてしまいます。そのため、本来肝臓で処理されるはずの有害物質が体内に残りやすくなります。

体に影響が出やすくなる

解毒されない物質が蓄積すると、神経や消化器などに影響を与え、さまざまな症状として現れます。


食後に症状が出やすいのはなぜか

食事と血液の流れの関係

食後に門脈血流が増える

食事をすると腸の働きが活発になり、門脈を流れる血液量が増えます。その結果、肝臓を通らない血液も増え、症状が出やすくなります。

食後に元気がなくなる理由

食後にぼーっとする、動きが鈍くなるといった変化は、PSSの特徴的なサインのひとつです。


門脈体循環シャントでよく見られる症状

行動や様子の変化

元気消失やぼんやりした様子

・食後に元気がなくなる
・反応が鈍くなる
・寝ている時間が増える
といった変化が見られることがあります。

落ち着きのなさ

逆に、意味もなく歩き回る、落ち着きがなくなるといった行動が見られる場合もあります。

消化器症状

嘔吐や下痢が目立たないことも

PSSでは、強い下痢や嘔吐が必ずしも出るとは限らず、「なんとなく調子が悪い」状態が続くケースも少なくありません。

成長や体格への影響

体重が増えにくい

若い犬や猫では、食べている量に比べて体重が増えない、体が小さいままといった成長不良がみられることがあります。


犬と猫での症状の出方の違い

犬で多い傾向

行動の変化が目立ちやすい

犬では、元気消失や行動の異常など、飼い主さまが気づきやすい変化として現れることが多い傾向があります。

猫での特徴

症状が分かりにくいことも

猫では、食欲不振や体重が増えないといった軽い変化として現れ、見逃されやすいことがあります。


こんなときは注意が必要です

日常生活でのチェックポイント

気づきやすいサイン

・食後に様子が変わる
・若いのに元気がない
・成長がゆっくり
・検査をしても原因がはっきりしない

早めの相談が大切

これらの変化が続く場合、PSSが関係している可能性があります。


まとめ

門脈体循環シャント(PSS)では、食後に元気がなくなる、ぼーっとする、成長がゆっくりといった分かりにくい症状が見られることがあります。「年齢のせい」「体質」と思われがちですが、背景に病気が隠れていることもあります。気になる変化があれば、早めにご相談ください。
次回は、健康診断や検査で門脈体循環シャントがどのように見つかるのか、検査のポイントについて解説します。

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