【第1回】犬と猫の門脈体循環シャント（PSS）とは？若いのに元気がない原因になる病気
kokubunji_adminこんにちは！国分寺ハートアニマルクリニックです！
「まだ若いのに元気がない」「食べているのに成長がゆっくり」「検査をしても原因がはっきりしない」
このような症状の背景に隠れていることがあるのが門脈体循環シャント（PSS）です。PSSは犬猫どちらにもみられる先天性の病気で、特に若い時期に見つかることが多い疾患のひとつです。
門脈体循環シャント（PSS）とはどんな病気か
門脈と肝臓の役割
門脈とは何か
門脈は、腸で吸収された栄養や老廃物を肝臓へ運ぶ重要な血管です。肝臓はこの血液を処理し、体にとって有害な物質を解毒する役割を担っています。
肝臓が果たしている働き
肝臓は解毒だけでなく、栄養の代謝や血液中の成分の調整など、生命維持に欠かせない働きをしています。
シャントがあると何が起こるのか
血液が肝臓を通らない状態
門脈体循環シャントがあると、本来肝臓を通るはずの血液が別の血管を通って全身に流れてしまいます。その結果、有害物質が十分に処理されないまま体内を巡ることになります。
体に負担がかかる理由
解毒されない物質が蓄積すると、神経症状や消化器症状など、さまざまな不調として現れることがあります。
先天性と後天性の違い
先天性PSS
生まれつき血管の異常がある
先天性PSSは、生まれつき異常な血管が存在するタイプです。若齢で発見されることが多く、小型犬や特定の犬種でみられることがあります。
後天性PSS
他の病気がきっかけになることも
後天性PSSは、肝臓の病気などが進行した結果として起こることがあります。発症年齢はさまざまで、先天性とは原因や対応が異なります。
犬と猫でみられる特徴
犬でみられやすい傾向
成長不良や行動の変化
犬では、体がなかなか大きくならない、元気がない、落ち着きがないといった変化がみられることがあります。
猫でみられる特徴
症状が分かりにくいことも
猫では症状がはっきり出ないこともあり、食欲不振や体重が増えないといった軽い変化として現れる場合があります。
なぜ若い時期に見つかることが多いのか
成長とともに差が出る
体の発達に影響が出やすい
成長期に肝臓の働きが十分に発揮されないため、他の同年代の犬猫との差が目立ちやすくなります。
日常生活の中で違和感が出る
食後の変化に気づかれることも
食後に元気がなくなる、ぼーっとするなどの変化から、異常に気づかれるケースもあります。
まとめ
門脈体循環シャント（PSS）は、犬猫どちらにもみられる先天性の血管異常で、若い時期の元気消失や成長不良の原因となることがあります。症状が分かりにくく、見逃されやすい病気ですが、早期に気づくことで適切な対応が可能になります。気になる様子があれば、早めにご相談ください。
次回は、食後に元気がなくなる・ぼーっとするなど、門脈体循環シャントでみられる症状について解説します。
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