【第1回】犬猫の腫瘍とは?身近だけど気づきにくい「がん」の基礎知識

1. はじめに

1-1. ごあいさつ

こんにちは!国分寺ハートアニマルクリニックです。
犬や猫の平均寿命が延びるにつれて、「腫瘍(しゅよう)」や「がん」という言葉を耳にする機会が増えてきました。腫瘍と聞くと、どうしても不安や恐怖が先立ってしまいますが、まずは正しい知識を持つことが、落ち着いて向き合うための第一歩になります。

1-1-1. 飼い主さんに知っておいてほしい視点

腫瘍は決して珍しい病気ではなく、高齢になればなるほど出会う可能性が高まる「身近な病気」です。「絶対に避けたい病気」というより、「長く一緒に暮らしていくうえで、備えておきたい病気」と捉えていただけると、少し気持ちが楽になるかもしれません。

2. 腫瘍とはどのような病気か

2-1. 細胞が増えすぎてしまう状態

腫瘍とは、体の中の細胞が何らかのきっかけで増え続けてしまう状態のことを指します。通常、細胞は必要な分だけ増え、役目を終えると静かに消えていきます。しかし、そのブレーキが効かなくなると、細胞が余分に増え、しこりや塊として現れてきます。

2-1-1. 良性と悪性の違い

腫瘍には「良性」と「悪性」があります。良性腫瘍は周囲への広がり方が穏やかで、転移することはあまりありません。一方、悪性腫瘍はいわゆる「がん」と呼ばれ、増殖の勢いが強く、周囲の組織を壊しながら広がったり、血液やリンパの流れに乗って別の場所に転移したりすることがあります。

3. 腫瘍ができやすい場所と気づき方

3-1. 皮膚のしこりとして気づく場合

最も気づきやすいのは、皮膚や皮下にできるしこりです。なでているときに小さなしこりを見つけることもあれば、ある日突然大きくなったように感じることもあります。

3-1-1. しこりの大きさや硬さの変化

しこりが短期間で大きくなる、表面がデコボコしてくる、硬さが変わる、色が変わるといった変化は、注意すべきサインです。見た目が小さくても、性質が強い腫瘍もあるため、自己判断で「大丈夫そう」と決めつけないことが大切です。

3-2. 内臓の腫瘍として静かに進行する場合

腫瘍は皮膚だけでなく、肝臓や脾臓、消化管など、体の内側にもできます。この場合、外からしこりを触ることはできません。

3-2-1. なんとなく元気がない…というサイン

食欲が落ちる、体重が減ってくる、寝ている時間が増えるといった「年のせいかな」と思いやすい変化が、内臓の腫瘍の初期サインになっていることもあります。特にシニア期の犬猫では、こうした変化をそのままにせず、一度検査を受けてみることが早期発見につながります。

4. 腫瘍の原因と予防についての考え方

4-1. はっきり分からない部分が多い理由

腫瘍の原因は、ひとつに特定できるものではありません。遺伝的な体質、年齢による細胞の老化、ホルモンバランス、紫外線や炎症など、さまざまな要素が重なって起こると考えられています。

4-1-1. 完全な予防より「早期発見」へ

人と同じように、「腫瘍を完全に防ぐ方法」は今のところありません。その代わりに、日頃から体をよく触る習慣をつくることや、定期的な健康診断で内臓の状態をチェックすることが、現実的で大切な対策になります。

5. まとめ

腫瘍は「珍しい特別な病気」ではなく、長生きするワンちゃん・ネコちゃんほど向き合う可能性のある病気です。落ち着いて向き合うためにも、まずは基礎知識を知っておくことが大切です。
次回は、飼い主さんが触って気づける「皮膚の腫瘍」について、もう少し具体的にお話しします。

LINE友だち追加で診察予約・最新情報がチェックできます!!
友だち追加
国分寺、小平、小金井周辺にお住まいの飼い主様
定期的な健康チェックから心臓病、歯のお悩みまで、気になることがございましたらご相談ください。
大切なペットが元気に過ごせるよう、スタッフ一同サポートいたします

--------------------------------------------------------------------

国分寺ハートアニマルクリニック
東京都国分寺市本多3-3-5プラザ明和1階
042-316-8631

--------------------------------------------------------------------