【第2回】犬の膵炎の症状と診断の流れ

こんにちは!国分寺ハートアニマルクリニックです。
前回は「膵炎とはどんな病気なのか」についてお話ししました。
今回は、実際に膵炎を疑うときのサインや、動物病院での診断の流れを詳しくご紹介します。
早期に気づくことができれば、重症化を防ぎやすくなります。


⚠️ 膵炎を疑うサインとは?

膵炎の症状は、軽度から重度までさまざまです。
初期には「なんとなく元気がない」「食欲が落ちている」程度の変化しか見られないこともあります。
しかし、炎症が進行すると以下のような症状がはっきり現れてきます。

  • 食欲がなくなる
  • 何度も吐く、または泡や黄色い液を吐く
  • 下痢、または泥状のうんち
  • お腹を痛がる(丸くうずくまる・触られるのを嫌がる)
  • 呼吸が荒い、落ち着かない
  • 元気がなく、動かなくなる

中には、急にぐったりして動けなくなるケースもあります。
飼い主さんが「朝は元気だったのに、夕方から様子が違う」と感じたら要注意です。


💡 症状の出方には個体差があります

膵炎の怖いところは、「症状の出方が一定ではない」ことです。
食べた後に嘔吐を繰り返すタイプもいれば、下痢や腹痛が中心の子もいます。
また、シニア犬では明らかな嘔吐がなくても、何日も食欲が戻らない場合に発覚することもあります。

特に注意したいのは、高脂肪食やおやつを食べた後に調子を崩すパターンです。
「少しごちそうをあげただけ」で膵炎を引き起こすケースもあります。


🏥 動物病院での診察の流れ

膵炎を疑う場合、動物病院ではいくつかのステップで診断を進めていきます。

① 問診と身体検査

まずは普段の食生活や最近の体調変化について詳しくお聞きします。
「いつから吐いているか」「食べたもの」「おやつの種類」「服薬の有無」など、些細な情報も診断のヒントになります。
次に体全体のチェックを行い、お腹を触って痛みや腫れを確認します。
膵炎の子では、お腹を触られるのを嫌がることが多く見られます。

② 血液検査

炎症の有無、脱水状態、臓器のダメージを確認するために行います。
特に膵臓に関係する酵素(リパーゼ、アミラーゼ)の上昇が見られることがあります。
また、より正確な指標として「犬膵特異的リパーゼ(cPLI)」を測定することで、膵炎かどうかを判断しやすくなります。
その他、肝臓や腎臓、血糖値の変化も併せて評価し、全身の状態を把握します。

③ 超音波検査(エコー)

血液検査で膵炎が疑われた場合、腹部超音波で膵臓の形や質感を調べます。
膵臓が腫れていたり、周囲の脂肪が白くぼやけて見えたりするのが典型的な所見です。
腹水が見られる場合は重症のサインとされ、より慎重な治療が必要になります。

④ レントゲン・CT検査

膵炎以外の疾患(腸閉塞や腫瘍など)との区別が難しい場合、レントゲンやCT検査を行うこともあります。
特に重度の症例では、膵臓以外の臓器(肝臓・腎臓など)への影響を確認するためにも有用です。


🧑‍⚕️重症度の見極め

膵炎は、軽症の場合は食欲が落ちる程度で済むこともありますが、重症化すると命に関わるケースもあります。
判断のポイントは以下のような点です。

  • 体温の上昇または低下
  • 脱水が強い
  • 黄疸(白目や皮膚が黄色くなる)
  • 呼吸が早い
  • 血圧の低下やショック症状

これらのサインがある場合、入院での集中治療が必要になります。
軽症でも再発を繰り返すと慢性化するため、早めの診断と治療が大切です。


🏠飼い主さんにできること

膵炎は、早期に気づいて受診することで回復の可能性が高まります。
「たかが食欲不振」と思わず、いつもと違う様子が続いたら早めに動物病院へ。
早期発見が、愛犬の負担を減らす一番のポイントです。


次回は、膵炎の治療法と再発を防ぐ生活管理について詳しくご紹介します。
治療後に気をつけたい食事や生活の工夫についても解説しますので、ぜひ続けてご覧ください。

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