【膵外分泌機能低下症(EPI)】痩せる・軟便が続くのに見逃されやすい消化の病気
こんにちは!国分寺ハートアニマルクリニックです!
今回は、犬猫で意外と見逃されやすい「膵外分泌機能低下症(EPI)」について解説します。慢性的な軟便・体重減少・食欲増加など、一見すると別の疾患にも見える症状が続くため、発見が遅れがちな病気です。見た目は元気そうでも消化吸収がうまくいっていないケースが多く、長期化すると栄養不良が進み、体力が落ちてしまうこともあります。早期発見・早期治療がとても重要な疾患です。
🧑⚕️膵外分泌機能低下症とは?
膵臓の“消化酵素を作る力”が低下する病気
膵臓は、食べ物を消化するための酵素(リパーゼ・アミラーゼ・プロテアーゼなど)を分泌しています。
EPIではこの機能が弱くなるため、食べてもきちんと消化されず、必要な栄養を吸収できなくなります。
若い子でも起こることがある
発症年齢はさまざまで、特定の犬種(ジャーマンシェパードなど)に多い傾向があるものの、どんな犬猫にも起こり得ます。
⚠️気づかれにくい理由
症状が緩やかに進むため“様子見”されやすい
- 軟便が続くけれど元気
- 食べているのに体重が減る
- 毛艶が悪い
こうした症状は「体質かも?」と見過ごされることが多く、診断が遅れる原因になります。
むしろ“食欲が強くなる”こともある
栄養が吸収できないため、常に空腹のような状態が続き、食欲が増す場合があります。
痩せているのに食欲旺盛 という組み合わせは、EPIを疑うポイントです。
🔍主な症状
慢性の消化症状が中心
- 長く続く軟便・下痢
- 便量が多い
- 消化されていないフード片が混じる
- ガスがたまりやすい
栄養不良による影響
- 体重が減る
- 毛艶が悪くなる
- 皮膚が乾燥する
- 疲れやすい
症状はゆっくり進むため、「年齢のせい」「フードが合わないだけ」と誤解されることもあります。
💡診断方法
TLI(膵特異的検査)が必須
膵外分泌機能低下症の確定診断には「TLI」という特殊な血液検査を用います。
一般的な血液検査では異常が出ないことも多いため、慢性的な軟便が続く場合にはTLI検査が非常に有効です。
追加検査が必要なこともある
- ビタミンB12の不足
- 甲状腺機能
- 腸の炎症
など、併発疾患を調べることで治療の質が大きく向上します。
💉治療方法
膵酵素の補充が基本
もっとも重要な治療は、不足している膵酵素を補うことです。
フードに酵素製剤を混ぜるだけで、消化吸収が改善し、体重が増加していくケースが多く見られます。
食事管理も重要
消化しやすいフードへの切り替えや、脂肪の量を調整することで症状が落ち着きやすくなります。
ビタミンB12の補充
EPIではB12が不足しやすく、サプリメントや注射で補うことで体調が安定します。
🏠飼い主さんが知っておくべきこと
完治ではなく“管理する病気”
EPIは一度発症すると完全に治るわけではありませんが、適切な酵素補充により多くの子が元気に生活できます。
早期治療で生活の質が大きく改善する
「体重が戻った」「便が安定した」という変化が見られることが多く、治療効果が実感しやすい病気です。
放置は危険
長期の栄養不良は免疫力低下・筋肉量減少につながり、別の病気を併発するリスクも高くなります。
📝まとめ
膵外分泌機能低下症は、気付きにくいのに身体への負担が大きい疾病です。慢性的な軟便、体重の減少、食欲の異常増加などが見られる場合は、早めの検査がおすすめです。気になる症状があれば、いつでも国分寺ハートアニマルクリニックへご相談ください。
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