猫のおしっこが少ない|元気でも受診は必要?原因と危険なサイン

「元気はあるのに、おしっこの塊がいつもより小さい」「トイレに何度も入るのに、少ししか出ていない」。猫のおしっこが少ないときは、尿の量だけでなく、排尿しようとする様子と、実際に尿が出ているかを確認することが大切です。

何度もいきむのに尿が出ない、数滴しか出ない、痛そうに鳴く場合は、元気に見えてもすぐに動物病院へ連絡してください。尿の通り道が詰まる「尿道閉塞」の可能性があり、半日や翌朝まで待ってよい症状ではありません。[1・2]

尿が出ない・何度もいきむ場合は、現在診療可能な動物病院へ速やかにご連絡ください。当院への受診をご希望の場合は、来院前に042-316-8631で受け入れ可否をご確認ください。電話がつながらない場合や当院で対応が難しい場合は、当院の診療開始やWEB予約の空きを待たず、対応可能な救急動物病院へご相談ください。

「1回に少し」と「1日全体で少ない」は違います

膀胱に炎症があると、何度もトイレに行き、少量ずつ排尿することがあります。一方、飲食の変化や脱水、腎臓の機能低下などによって、作られる尿そのものが減る場合もあります。尿道が詰まって、尿を出したくても出せない場合もあり、ご家庭で原因を見分けることはできません。[1〜4]

猫砂の塊の大きさは、砂の種類や厚さ、掃除のタイミングでも変わります。多頭飼育では、別の猫の尿を見て「出ている」と判断してしまうこともあります。砂の減り方だけでなく、いつもの排尿との違いを見てください。

症状別の受診目安

何度もいきむのに尿が出ない・数滴だけならすぐに連絡。血尿・頻尿や尿量の減少が続く場合は当日中に相談。判断できない場合も病院へ相談してください。
気づいた変化取るべき行動
何度もいきむのに出ない・数滴だけ
痛がる、吐く、ぐったりする
すぐに病院へ連絡
時間を決めて様子を見ず、受診を優先してください。
尿は出るが、血尿・頻尿がある
いつもより明らかに少ない状態が続く
当日中に相談
出にくさが加われば、すぐに連絡してください。
量が少ないか判断できない
いきみ・痛みなどは見られない
排尿の実態を確認
最後に確認した時刻・塊・食欲を記録。不明のままなら病院へ相談してください。

この目安は診断の代わりにはなりません。少し尿が出ていても、部分的な詰まりや病気を否定できません。特にオス猫は尿道が細く、閉塞に注意が必要ですが、メス猫でも出にくさや痛みを放置しないでください。[1・2]

猫のおしっこが少なく見える主な原因

膀胱炎など、膀胱・尿道のトラブル

膀胱や尿道の病気では、頻尿、血尿、排尿時の痛み、トイレ以外での排尿などが見られます。こうした病気をまとめて、猫の下部尿路疾患(feline lower urinary tract disease:FLUTD)と呼びます。これは一つの原因を示す診断名ではありません。[1]

原因には、猫特発性膀胱炎(feline idiopathic cystitis:FIC)、尿路結石、細菌感染などがあります。特発性膀胱炎は、ほかの原因を調べたうえで判断する病気です。ストレスや生活環境が関わることがありますが、「ストレスだけが原因」「抗菌薬で治る」とは限りません。[1]

関連する症状については、猫の血尿・トイレに何度も行くときの解説もご覧ください。

尿道閉塞:尿を出したいのに出せない状態

尿道閉塞は、膀胱から体の外へ尿を出す通路が詰まる状態です。結石だけでなく、粘液状の物質などが関与することもあります。尿を排出できなくなると、腎臓の働きや血液中の電解質のバランスが悪化し、命に関わります。[2]

トイレで長くいきむ様子が、便秘と間違われることもあります。「便が出ないのだろう」と決めつけず、尿が出ているかを確認してください。確認できないまま何度もいきむ場合は、すぐに連絡が必要です。

脱水や、食事・飲水量の変化

食べる量が減った、嘔吐や下痢がある、水を飲みにくい環境になったなどの変化は、水分不足につながります。ウェットフードとドライフードでは食事から取れる水分量も異なるため、フード変更の時期も診察時に役立つ情報です。[3]

ただし、尿が少ない理由を「水を飲んでいないだけ」と決めることはできません。出にくそうな様子があるときは、水分を増やして様子を見るより、原因の確認を優先してください。

急性腎障害・慢性腎臓病の悪化など

急性腎障害(acute kidney injury:AKI)では、尿の量が少なくなる、ほとんど作られなくなることがあります。一方、急性腎障害でも尿が出る場合があり、尿量だけでは腎臓の状態を判断できません。[4]

慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)では、尿を濃くする能力が低下し、むしろ飲水量や尿量が増えることがあります。「尿が少ない=慢性腎臓病」とは限らず、すでに腎臓病で通院している猫の尿が急に減った場合も、脱水や急な悪化、尿路の詰まりなどを確認します。[4・5]

腎臓病については、猫の腎臓病の早期発見と治療についてもご覧ください。

動物病院では何を調べますか?

診察では、排尿の経過、膀胱の状態、脱水や痛みの有無を確認し、まず緊急処置が必要かを判断します。検査は症状に合わせて組み合わせます。[1・2]

尿検査・必要に応じた尿培養

尿の濃さ、血液や炎症細胞、結晶などを調べます。細菌感染が疑われる場合には、尿培養で細菌の有無や薬の選択を確認することがあります。結晶が見つかっただけで結石と断定することも、結晶がないから結石を否定することもできません。[1]

血液検査・画像検査

血液検査では腎臓に関係する数値やカリウムなどを確認します。超音波検査やレントゲン検査は、膀胱・腎臓・結石などの評価に役立ちます。すべての猫に同じ検査を一律に行うのではなく、緊急性や診察所見に応じて必要性をご説明します。[2・4]

尿を持参できるか、採り方や保管方法は、事前に病院へご確認ください。採尿に時間をかけて受診を遅らせないでください。

治療は原因によって変わります

尿道閉塞では、全身状態を整えながら、必要に応じて鎮静・麻酔下でカテーテルを使い、尿の通り道を確保します。処置や麻酔にはリスクがあり、解除後も再閉塞や尿量・電解質の変化を確認するため、入院管理が必要になることがあります。[2]

膀胱炎では痛みへの対応と原因に合った管理を行います。細菌感染が確認・強く疑われる場合を除き、抗菌薬が必要とは限りません。不要な使用は副作用や薬剤耐性の問題につながります。特発性膀胱炎では、薬だけでなく生活環境の調整も大切です。[1・6]

脱水や腎臓の障害では輸液が必要なことがありますが、量は尿量や心臓・腎臓の状態に応じて調整します。尿が出ない状態でむやみに輸液を増やすと、体内に水分がたまり危険です。自宅で皮下点滴をしている場合も、急に尿が減ったら自己判断で増量せず、担当獣医師へ連絡してください。[4]

ご自宅でできること・避けてほしいこと

受診までに、最後に普段どおりの尿を確認した時刻、トイレに行く回数、いきみ・血尿・嘔吐の有無、食欲、使用中の薬を整理しておくと診療に役立ちます。写真や短い動画も参考になりますが、撮影より受診を優先してください。

お腹を押して尿を出そうとする、無理に水を飲ませる、人の鎮痛薬や余った薬を与えることは避けてください。尿が出にくい状態を、ご家庭で解決しようとしないことが大切です。

原因を確認した後のケアでは、清潔な水を飲みやすい場所に用意し、猫が落ち着いて使えるトイレ環境を整えます。療法食やウェットフードの利用は持病や結石の種類に応じて相談し、急な環境変更を重ねないようにしましょう。[1・3]

よくあるご質問

元気も食欲もあるなら、明日まで待ってよいですか?

何度もいきむのに尿が出ない、数滴しか出ない場合は待たずに連絡してください。尿が出ていても、普段と明らかに違う状態が続く場合や血尿・頻尿がある場合は、当日中に相談しましょう。

おしっこは1日何回なら正常ですか?

飲食や生活環境によって変わるため、回数だけで正常とは判断できません。その猫の普段の回数・量と比べ、排尿時の様子、食欲や活動性も合わせて確認します。「回数が範囲内だから詰まっていない」とは考えないでください。

数滴は出ています。尿道は詰まっていませんか?

数滴出ているだけでは、部分的な閉塞などを否定できません。繰り返しいきむ、長く排尿姿勢をとる、痛そうに鳴くときは、すぐに病院へ連絡してください。

猫砂の塊が小さくなったときは?

砂の種類や量を変えたか、別の場所で排尿していないかも確認します。ただし、確認のために何時間も待つ必要はありません。出にくそう、普段の尿を確認できない、体調に変化がある場合は、病院へ相談してください。

国分寺・小平・小金井で猫の排尿についてお困りの方へ

国分寺ハートアニマルクリニックでは、排尿の変化についてお話を伺い、診察と必要に応じた尿検査・血液検査・超音波検査などで原因を確認します。再発する場合には、治療だけでなく、ご家庭での観察や食事・生活環境も一緒に見直します。

治療後の定期検査や再発予防、食事・生活環境の見直しなど、状態が落ち着いている場合の継続的なご相談は、通常の診察予約をご利用ください。一方、尿が出ない・何度もいきむ場合は、元気に見えても予約を待たず、現在診療可能な動物病院へご連絡ください。

医療情報確認日:2026年10月7日

参考文献・参考資料

[1]Taylor S, et al. 2025 iCatCare consensus guidelines on the diagnosis and management of lower urinary tract diseases in cats. Journal of Feline Medicine and Surgery. 2025;27(2). doi:10.1177/1098612X241309176

[2]Cornell Feline Health Center. Feline Lower Urinary Tract Disease.

[3]Cornell Feline Health Center. Hydration.

[4]International Renal Interest Society. International Renal Interest Society best practice consensus guidelines for the diagnosis and management of acute kidney injury in cats and dogs. The Veterinary Journal. 2024;305:106068. doi:10.1016/j.tvjl.2024.106068/IRIS公式要約(2026).

[5]Cornell Feline Health Center. Chronic Kidney Disease.

[6]Weese JS, et al. International Society for Companion Animal Infectious Diseases (ISCAID) guidelines for the diagnosis and management of bacterial urinary tract infections in dogs and cats. The Veterinary Journal. 2019;247:8–25. doi:10.1016/j.tvjl.2019.02.008.


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