犬の呼吸困難

先日、咳が止まらず、ずっと苦しそうにしているとの主訴で、当院にご来院された犬の症例の紹介をさせて頂きます。

犬が呼吸がしずらくなってしまう原因としては、多岐にわたり考えられます。

・口の中に異物がはいり、それが喉にひっかかてしまうこと

・鼻腔内や気道内に異物が入り、咳やくしゃみが止まらなくなる

・僧帽弁閉鎖不全症などの弁膜症疾患、拡張型心筋症などの心筋症などが原因により、鬱血性心不全を引き起こし、肺に水がたまってしまうこと

・何らかの原因で胸腔内からの空気が抜けなくなってしまう気胸をひきおこすこと

・肺炎や気管支の感染症 ・中毒や代謝性疾患 ・熱中症 喉頭麻痺 ・短頭種気道症候群など

そのなかで、今回の症例は、気管虚脱と呼ばれる疾患が疑われました。

特徴としては、写真にあるように胸部に入る入り口の部分が非常に狭くなっていることであり

ガーガーといった高い音で、咳や異常呼吸音が認められます。

病態には、過去の既往歴なども関連していることもあります。

心臓病疾患や呼吸器疾患、肥満、アレルギーがないかどうかなど

治療としては、内科治療、外科治療があり

内科治療としては、ステロイドなどの消炎剤、抗生剤や、咳止めシロップ、ネブライザー療法などが挙げられます。

外科治療としては、気管ステントなどになります。

気管虚脱は、悪化すると、呼吸困難や、低酸素血症、肺水腫など引き起こし、最悪呼吸停止を呈し死に至ることもあります。

最近、咳がふえてきたな、疲れやすくなったな、呼吸の仕方がおかしいななどあれば

お気軽に当院にご相談ください。

記事執筆者:国分寺ハートアニマルクリニック 院長牛尾俊之