抗体価検査とは?|ワクチン接種が必要な子・不要な子を見極める時代へ

診察室でよくいただくご相談のひとつに、

ワクチンは毎年必ず打ったほうがよいのでしょうか
副作用が心配です
高齢になってきたけれど、続けるべきでしょうか

といった内容があります。

近年、こうした疑問に対する科学的な選択肢として注目されているのが、ワクチン抗体価検査です。

本記事では、動物病院の立場から、抗体価検査の仕組み、メリット・デメリット、注意点、そして国際的エビデンスまでをわかりやすく解説します。


ワクチン抗体価検査とは

ワクチン抗体価検査とは、過去のワクチン接種によって体内に作られた防御抗体が、現在どの程度維持されているかを数値で評価する検査です。

主に、命に関わる重要な感染症であるコアワクチン関連疾患を対象に測定します。


ジステンパー、パルボウイルス、アデノウイルス


猫汎白血球減少症、カリシウイルス、ヘルペスウイルス

抗体価が十分に維持されている場合、追加接種を急がなくても感染防御力が保たれていると判断できるケースがあります。


なぜ今、抗体価検査が重要なのか

これまで、毎年のワクチン接種が当たり前と考えられてきました。

しかし近年の研究により、ワクチン免疫は数年以上持続することが多いことが明らかになっています。

適切な初期ワクチンプログラムを完了した犬では、3年以上、条件が整えば7年以上にわたって免疫が維持された例も報告されています。

そのため現在は、すべての犬猫に一律で毎年接種するのではなく、個体ごとに評価する予防管理が主流になりつつあります。


犬における重要な注意点 レプトスピラ対策

犬の場合でも、すべての子に抗体価検査が適しているわけではありません。

特に、川遊び、キャンプ、登山、自然公園の散策など、屋外活動が多い子では、レプトスピラ感染のリスクが高くなります。

レプトスピラは抗体価検査で十分な免疫評価ができない感染症です。

ネズミなどの野生動物の尿などを介して感染し、重症化すると命に関わることもあります。

そのため、アウトドア活動が多い犬では、抗体価の有無にかかわらず、原則として毎年のレプトスピラワクチン接種を推奨しています。


猫における注意点 腎臓病との関係

猫では、ワクチン接種と腎機能との関係にも配慮が必要です。

猫では、年齢や基礎疾患により、ワクチン接種後の体調変化が出やすいことがあります。特に慢性腎臓病の猫や高齢猫では、接種の要否、同時に行う処置、接種後の観察を含めて、全身状態を踏まえた慎重な判断が重要になります。


抗体価検査のメリット

抗体価検査には、次のような利点があります。

・不必要なワクチン接種を減らせる
・副作用リスクを低減できる
・高齢動物や持病のある子にも安全に対応できる
・数値に基づいた科学的判断ができる
・飼い主様の安心につながる

客観的なデータに基づいて予防医療を選択できる点が最大のメリットです。


抗体価検査のデメリットと限界

一方で、抗体価検査には限界もあります。

すべての感染症を評価できるわけではありません。


レプトスピラ、パラインフルエンザなど


猫白血病ウイルス、猫免疫不全ウイルスなど

これらは抗体価では評価できません。

また、採血が必要なため、血液検査が苦手な子にはストレスとなる場合があります。

検査の結果、抗体価が低い場合にはワクチン接種が推奨されるため、検査費用とワクチン費用の両方がかかるケースもあります。施設によっては、抗体価検査をワクチン証明として認めていない場合がある点にも注意が必要です。


抗体価が長期間維持されるための条件

研究において長期免疫が確認されている個体には、いくつかの共通点があります。

・子犬子猫期に適切な初期ワクチンプログラムを完了している
・免疫機能が正常に保たれている
・適切なワクチン製剤が使用されている
・重度の慢性疾患や免疫抑制状態がない

これらの条件がそろってはじめて、長期間の免疫維持が期待できます。

すべての犬猫に同じ免疫持続期間が当てはまるわけではないため、個別評価が不可欠です。


科学的エビデンス

本記事で参照している主な根拠は以下の通りです。

World Small Animal Veterinary Association(WSAVA)
Guidelines for the Vaccination of Dogs and Cats
過去版 2007、2010、2016、最新版 2024

American Animal Hospital Association(AAHA)
2022 AAHA Canine Vaccination Guidelines(2022年)

Ronald D. Schultz, PhD
Duration of immunity for canine and feline vaccines: a review(2006年)

これらはいずれも、現在の獣医療において国際的に高い信頼性を持つ基準です。


当院で使用しているワクチン製剤について

当院では、安全性と有効性を重視し、使用するワクチン製剤も明確にしたうえで予防プランをご提案しています。

当院で取り扱っている主な混合ワクチンは以下の通りです。


ゾエティス ジャパン株式会社
バンガード®プラス5
バンガード®プラス5/CV
バンガード®プラス5/CV-L
バンガード®プラス5/CV-L4

年齢、生活環境、感染リスクに応じて適切な製剤を選択しています。


共立製薬株式会社
フェリバック®L-3

猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症の予防を目的とした3種混合ワクチンです。


当院の予防医療に対する考え方

当院では、すべての犬猫に同じ予防を行うのではなく、

年齢
生活環境
既往歴
現在の健康状態
抗体価検査結果
飼い主様のご希望

を総合的に評価し、その子に最適な予防プランをご提案しています。

抗体価検査の結果によっては、追加接種を見送る場合もあれば、早期接種をおすすめする場合もあります。

いずれの場合も、その理由を丁寧にご説明し、納得いただいたうえで方針を決定しています。


まとめ 予防医療も個別化の時代へ

ワクチン抗体価検査は、ワクチンをやめるための検査ではありません。

科学的根拠に基づき、その子にとって最も安全で合理的な予防方法を選ぶための手段です。

不必要なリスクを避けたい
愛犬愛猫に合った医療を受けさせたい
納得したうえで予防管理を行いたい

そのように考える飼い主様にとって、抗体価検査は非常に有効な選択肢となります。

気になることがあれば、診察時にお気軽にご相談ください。

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