子猫におけるコアワクチンでは予防できないウイルス性疾患

こんにちは!国分寺ハートアニマルクリニックです!
本日は、子猫で注意すべき「コアワクチンでは予防できない代表的なウイルス性疾患」について
病態生理を中心に、代表的な症状もあわせて解説いたします。
猫のコアワクチンは、猫ヘルペスウイルス、猫カリシウイルス、猫汎白血球減少症ウイルスを対象としています。しかし臨床現場では、それ以外のウイルス性疾患が幼齢期の重症化要因となることが少なくありません。子猫は細胞性免疫・液性免疫ともに未成熟であり、ウイルス排除能力が十分ではないため、感染成立後に持続感染へ移行しやすいという特徴があります。
① 猫白血病ウイルス感染症(FeLV)
原因は Feline leukemia virus です。レトロウイルス科に属し、ウイルスRNAを宿主DNAへ組み込む性質を持ちます。
骨髄前駆細胞へ感染することで造血抑制を引き起こし、非再生性貧血や汎血球減少を生じます。また、腫瘍形成能を有し、若齢期からリンパ腫を発症することもあります。幼齢猫では一過性感染で終わらず、持続感染へ移行する割合が高い点が問題となります。
主な症状
・元気消失
・食欲不振
・粘膜蒼白(貧血)
・リンパ節腫大
検査方法
定性試験
・ELISA(抗原検出)
・IFA(間接蛍光抗体法)
・PCR
定量試験
・リアルタイムPCR
② 猫免疫不全ウイルス感染症(FIV)
原因は Feline immunodeficiency virus です。CD4陽性Tリンパ球を標的とし、徐々に免疫機能を低下させます。
急性期は軽度発熱やリンパ節腫大にとどまることもありますが、慢性期に入ると日和見感染が顕在化します。幼齢期に感染した場合、長期にわたる免疫不全状態が将来的な生活の質に影響を及ぼします。
主な症状
・発熱
・リンパ節腫大
・慢性口内炎
・体重減少
検査方法
定性試験
・ELISA(抗体検出)
・Western blot
・PCR
定量試験
・リアルタイムPCR
③ 猫伝染性腹膜炎(FIP)
原因は Feline coronavirus の変異株です。通常は腸管で軽度症状を示すコロナウイルスが体内で変異し、マクロファージ内で増殖可能となることで全身性炎症を引き起こします。
滲出型では腹水や胸水の貯留、非滲出型では肉芽腫形成に伴う神経症状や眼病変を呈します。発症にはウイルス因子だけでなく、宿主の免疫応答バランスが大きく関与します。
主な症状
・持続的な発熱
・体重減少
・腹水による腹囲膨満
・神経症状(ふらつき等)
検査方法
定性試験
・FCoV抗体検査
・PCR
・変異特異的PCR
・リバルタ試験
定量試験
・リアルタイムPCR
・血清蛋白分画検査
④ 猫ヘモプラズマ感染症
代表種は Mycoplasma haemofelis です。赤血球表面に付着し、免疫介在性溶血を誘導します。
急性期には再生性貧血を呈し、ノミ媒介感染が主経路とされています。免疫未熟な幼齢猫では急激な貧血に至ることがあります。
主な症状
・元気消失
・粘膜蒼白
・発熱
・頻脈
検査方法
定性試験
・血液塗抹検査
・PCR
定量試験
・リアルタイムPCR
・CBC(全血球計算)
まとめ
子猫における非コアのウイルス性疾患は、いずれも「免疫未成熟」という背景のもとで重症化しやすい特徴があります。
特にレトロウイルス感染症では持続感染の成立が予後を左右し、FIPでは宿主免疫の偏位が病態形成の中心となります。

コアワクチン接種のみで感染症対策が完結するわけではありません。
感染経路の遮断、外部寄生虫対策、同居猫の健康管理、必要に応じたウイルス検査など、多角的な管理が重要です。
幼齢期は将来の健康基盤を形成する重要な時期であり、感染症リスクを正しく理解したうえでの早期介入と継続的モニタリングが予後改善につながります。
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