犬の歯石除去は全身麻酔が必要?費用・抜歯・当日の流れと注意点
犬の歯石除去について「全身麻酔は必要?」「高齢犬でも受けられる?」「費用はいくら?」という疑問は多くあります。歯石除去は歯を白く見せるためだけではなく、歯周病を評価し、必要な治療につなげるための歯科診療です。
本格的な歯科処置は、気管挿管・生体モニタリングを伴う全身麻酔下で行うことが基本です。一方、麻酔の可否や費用は、歯周病の進行度、年齢だけでなく全身状態や必要な処置によって変わります。
犬の歯石除去に全身麻酔が必要な理由
歯垢(プラーク)が石灰化すると歯石になり、通常の歯磨きでは取り除けません。歯周病の原因となる細菌性歯垢は、見える歯の表面だけでなく歯肉の下にも存在します。見える歯石だけを削っても歯周ポケットの病変を治療したことにはなりません。
2019年AAHA歯科ガイドラインでは、気管挿管と適切な麻酔管理下で歯科処置を行うことを推奨しています。麻酔下で歯ごとの検査、歯周ポケットの評価、必要な歯科X線検査、歯肉縁上・歯肉縁下の清掃、研磨、病変に応じた治療を行います。無麻酔の歯石除去は包括的な歯科診療の代わりにならず、AVDCも予防法として認めていません。
歯石が多いと必ず抜歯しますか?
歯石の量だけで抜歯の必要性は決まりません。歯石が少なくても、歯周ポケットが深い、歯槽骨が失われている、歯根周囲に病変がある場合があります。歯の動揺、歯周組織の状態、必要に応じた歯科X線所見などを総合して判断します。歯科X線の実施体制や検査範囲は病院ごとに異なります。
犬の歯石除去・歯科処置の流れ

① 初診と口腔内診察
口臭、歯石、歯肉の赤みや出血、食べ方、顔の腫れを確認し、既往歴・服薬歴・過去の麻酔歴を伺います。意識下では奥歯や歯肉の下を完全に調べられないため、処置範囲や見積もりは暫定的になる場合があります。
② 麻酔前検査
身体検査に加え、必要に応じて血液検査、胸部X線、血圧、心電図、心エコーなどを検討します。すべての犬に同じ検査を一律に行うのではなく、併存疾患と麻酔リスクに応じて個別に計画します。
③ 麻酔下での歯科処置
口腔内を詳しく確認し、歯肉縁上・歯肉縁下の歯石・歯垢を除去します。必要に応じて歯周ポケット検査、歯科X線、抜歯などを行います。研磨や疼痛管理も重要です。麻酔中は呼吸・循環・体温などを監視します。
④ 覚醒・退院後の説明
覚醒状態、呼吸、循環、疼痛を確認します。抜歯の有無によって食事の形状、薬剤、歯磨き再開時期が変わります。出血が続く、強い痛み、元気が戻らない場合は連絡してください。
費用は何によって変わりますか?
費用には診察・術前検査、麻酔管理、歯石除去・研磨、歯科X線、抜歯、鎮痛、術後管理などが関係します。麻酔下で初めて歯周ポケットや歯根の病変が分かり、追加治療が必要になることもあります。基本処置の費用だけでなく、抜歯が必要になった場合の費用の幅、追加処置時の連絡方法を事前に確認することが大切です。
当院の料金について、確認できない金額は掲載しません。実際の見積もりは診察と必要な検査・処置内容を確認したうえでご案内します。
高齢犬や心臓病の犬でも受けられますか?
年齢だけを理由に、すべての歯科処置ができなくなるわけではありません。ただし麻酔のリスクはゼロではなく、心臓病、腎臓病、呼吸器疾患、貧血、脱水などの状態を評価する必要があります。必要なら全身状態の安定化を優先し、延期や専門施設への紹介も検討します。
心雑音がある犬では、心エコーなどによる病態評価が麻酔計画の参考になります。犬の心雑音と検査についてもご覧ください。
処置の利点とリスク
適切な歯科処置によって歯周病に伴う炎症や痛みを軽減し、感染源となる病変に対応できる可能性があります。ただし失われた歯周組織が必ず元に戻るわけではなく、術後も歯磨きなどの管理が必要です。
麻酔には血圧低下、不整脈、換気障害、低体温、誤嚥などのリスクがあります。抜歯後には疼痛、出血、創部の問題なども起こり得ます。術前評価、麻酔・疼痛管理、覚醒時の観察でリスク低減を図りますが、完全にはなくせません。
受診の目安
歯科相談:歯石や口臭が気になるが元気・食欲は普段どおり。
早めに受診:歯肉出血、歯のぐらつき、食べ方の変化、口を触られるのを嫌がる。
速やかに受診:顔の腫れ、強い痛み、食べられない、出血が止まらない、全身状態の悪化。
よくある質問
無麻酔で取る方が安全ではありませんか?
麻酔自体のリスクは避けられますが、歯肉の下の病変を十分に評価・治療できず、包括的な歯科処置の代わりにはなりません。
歯石除去後は歯磨き不要ですか?
歯垢は再び付着するため、治癒状態に合わせてホームケアを再開することが重要です。
初診日に処置できますか?
術前評価や麻酔の準備が必要なため、初診当日の実施をお約束するものではありません。
まとめ
犬の歯石除去は見える歯石を取るだけでなく、歯周病の状態を正確に調べ、必要な治療につなげることが大切です。費用や麻酔が心配な場合こそ、事前診察で検査、処置の範囲、追加治療の可能性についてご相談ください。
国分寺・小平・小金井周辺で犬の歯石、口臭、歯周病が気になる場合はご相談ください。歯科専門外来は隔週木曜日です。歯科専門外来のご案内もご覧ください。歯石を放置するリスクについても解説しています。
参考文献
- Bellows J, Berg ML, Dennis S, et al. 2019 AAHA Dental Care Guidelines for Dogs and Cats. J Am Anim Hosp Assoc. 2019;55(2):49–69. doi:10.5326/JAAHA-MS-6933.
- American Veterinary Dental College. Position Statement on Anesthesia-Free Dentistry. AVDC公式声明.
医療情報確認日:2026年10月9日
ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
LINE友だち追加で診察予約・最新情報がチェックできます!!
国分寺、小平、小金井周辺にお住まいの飼い主様
定期的な健康チェックから心臓病、歯のお悩みまで、気になることがございましたらご相談ください。
大切なペットが元気に過ごせるよう、スタッフ一同サポートいたします。
国分寺ハートアニマルクリニック
東京都国分寺市本多3-3-5プラザ明和1階
TEL 042-316-8631


