僧帽弁閉鎖不全症の犬と暮らすために|自宅で見るべき呼吸数・散歩・受診の目安

これまで犬の僧帽弁閉鎖不全症(MMVD)がどのような病気なのか、Stage B1・B2の違いと、お薬を始めるタイミングについて解説しました。

今回は、

「心臓病と診断されたら、自宅では何を見ればいいの?」

「呼吸数は何回になったら注意が必要?」

「散歩は続けても大丈夫?」

といった、飼い主様からよくいただくご質問について解説します。

動物病院で行う心臓超音波検査やレントゲン検査はもちろん大切ですが、毎日一緒に生活している飼い主様だからこそ気づける変化もあります。

特に確認していただきたいのが「睡眠時呼吸数」です。

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自宅で最も見てほしい「睡眠時呼吸数」

僧帽弁閉鎖不全症が進行すると、僧帽弁から左心房への逆流が増え、心臓や肺の血管に負担がかかります。

さらに進行すると、肺の中に水分がたまる「心原性肺水腫」を起こすことがあります。

肺水腫になると呼吸が速くなるため、

「いつもより呼吸数が増えていないか」

を確認することが、心不全の早期発見につながります。

多くの犬では、ぐっすり眠っているときの呼吸数は30回/分未満です。

ただし、

「30回を超えたら肺水腫」

という意味ではありません。

重要なのは、その子の普段の呼吸数と比較することです。

例えば、

普段18回/分前後だったのに、最近25回、28回、30回と増えている

という変化は、とても重要な情報になります。

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呼吸回数の目安は?

当院では、おおよそ次のように考えています。

普段の睡眠時呼吸数
多くの犬では30回/分未満です。

30回/分を繰り返し超える
すぐに肺水腫というわけではありませんが、普段より増えていないか注意して確認します。

40回/分以上が続く
心臓病のあるワンちゃんでは、早めに動物病院へご相談ください。

ただし、

呼吸が苦しそう
お腹を大きく使って呼吸している
横になれない
首を伸ばして呼吸している
舌や歯ぐきの色がおかしい

といった症状がある場合には、呼吸数が40回未満でも早急な診察が必要です。

「40回までは大丈夫」という意味ではありません。

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睡眠時呼吸数の測り方

測定するのは、ワンちゃんがぐっすり眠っているときです。

胸やお腹が、

「上がって、下がる」

これを1回と数えます。

例えば15秒間で5回なら、

5回 × 4 = 20回/分

です。

散歩直後、興奮しているとき、暑くてハァハァしているときには測定しません。

スマートフォンなどに日付と呼吸数を記録しておくと、普段との変化が分かりやすくなります。

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咳が増えたら心不全?

僧帽弁閉鎖不全症のワンちゃんでは、

「最近、咳が増えました」

というご相談もよくあります。

しかし、

「心臓病の犬が咳をした=肺水腫」

とは限りません。

特に小型犬では、気管虚脱や慢性気管支疾患などの呼吸器疾患を併発していることもあります。

そのため、咳が増えてきた場合には、心臓超音波検査だけではなく、胸部レントゲン検査で肺や気管・気管支を確認することも重要です。

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心臓病になったら散歩は禁止?

心臓病があるからといって、すべてのワンちゃんで散歩を禁止する必要はありません。

Stage B1・B2で心不全症状がなく、元気に生活できている場合には、無理のない範囲で散歩を続けることができます。

適度な運動は、

筋肉量や適正体重の維持
ストレス発散
生活の質の維持

という意味でも大切です。

ただし、

激しいダッシュ
長時間の激しい運動
暑い時間帯の散歩

などは避けましょう。

以前より歩くのが遅くなった、途中で止まる、すぐ疲れる、呼吸が戻りにくいといった変化があれば、診察時にお伝えください。

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食事やお薬について

心臓病だからといって、自己判断で極端な塩分制限をしたり、食事量を減らしたりする必要はありません。

体重や筋肉量を維持することも大切です。

また、心臓のお薬を服用している場合には、元気になったからと自己判断で中止したり、呼吸が速いからと利尿薬を増量したりしないようにしてください。

飲水も基本的には制限せず、いつでも新鮮なお水を飲めるようにしておきます。

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毎日すべてをチェックする必要はありません

難しい管理を毎日する必要はありません。

大切なのは、

「この子のいつもの状態」

を知っておくことです。

特に、

睡眠時呼吸数
呼吸の仕方

散歩中の様子
食欲
体重・筋肉量
元気

などの変化を確認してみてください。

飼い主様の

「なんとなく、いつもと違う」

という気づきが、病気の変化を早く見つけるきっかけになることがあります。

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まとめ

僧帽弁閉鎖不全症と診断されたからといって、すぐに日常生活のすべてを制限する必要はありません。

大切なのは、その子のステージに合わせて定期的な検査を行いながら、ご自宅での変化を確認していくことです。

特に睡眠時呼吸数は、ご自宅で簡単に確認できる非常に重要な指標です。

目安として、

30回/分を繰り返し超える、または普段より明らかに増えてきた
→一度ご相談ください。

40回/分以上が持続する
→早めの受診をおすすめします。

呼吸が苦しそう、横になれない、お腹を使って呼吸している
→数字にかかわらず早急な診察が必要です。

国分寺ハートアニマルクリニックでは、心臓超音波検査や胸部レントゲン検査などを組み合わせ、僧帽弁閉鎖不全症の診断、ステージ評価、治療、定期的な経過観察を行っています。

国分寺市、小平市、小金井市周辺で、

「心雑音を指摘された」
「最近、呼吸数が増えてきた」
「咳が増えてきた」
「心臓病と言われたけれど、自宅で何を見ればよいかわからない」

という場合にも、お気軽にご相談ください。

「現在どのステージにいて、以前と比べてどのように変化しているのか」

を継続して確認することです。

適切な検査と治療を行いながら、その子らしく過ごせる時間をできるだけ長く守っていきましょう。

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参考文献

Keene BW, Atkins CE, Bonagura JD, et al. ACVIM consensus guidelines for the diagnosis and treatment of myxomatous mitral valve disease in dogs. Journal of Veterinary Internal Medicine. 2019;33:1127-1140.

Rishniw M, Ljungvall I, Porciello F, Häggström J, Ohad DG. Sleeping and resting respiratory rates in dogs with subclinical heart disease. Journal of the American Veterinary Medical Association. 2013;243:839-843.

Rishniw M, Ljungvall I, Porciello F, Häggström J, Ohad DG. Sleeping and resting respiratory rates in dogs and cats with medically-controlled left-sided congestive heart failure. The Veterinary Journal. 2016;207:164-168.