犬が震える・ブルブルする|寒くないのに震える原因と受診目安
「寒くないのに愛犬がブルブル震えている」「元気や食欲はあるのに小刻みに震える」と心配になることはありませんか。
犬の震えには、寒さ・緊張など一時的な反応から、痛み、吐き気、低血糖、中毒、神経疾患など治療が必要な原因まであります。また「震え」に見えても、けいれん発作や別の不随意運動である場合があります。
この記事では、犬が震える原因、震えとけいれんの違い、自宅で確認したいポイント、受診の目安を獣医師が解説します。

けいれん発作が5分以上続く、または意識が十分に戻らないまま繰り返す場合は緊急です。5分になるまで待つという意味ではありません。撮影や記録のために連絡・受診を遅らせないでください。診療時間外は夜間救急など、受け入れ可能な医療機関へご連絡ください。
犬が震えるとき、最初に確認したいこと
- 寒さ、雷、花火など明確なきっかけがあるか
- 意識は普段どおりで呼びかけに反応するか
- 全身か、頭・前足・後ろ足など一部だけか
- 嘔吐、下痢、流涎、ふらつき、痛み、食欲低下を伴うか
- 誤食・中毒の可能性や新しく開始した薬がないか
可能であれば震えている様子を動画で撮影してください。診察室では症状が止まることもあり、動画は震え・けいれん・不随意運動を区別する重要な情報になります。
犬が震える主な原因
1.寒さ・低体温
寒い環境では熱を産生するために筋肉が細かく収縮します。小型犬、子犬、高齢犬、短毛種、痩せている犬では影響を受けやすいことがあります。暖かい場所へ移すと短時間で落ち着き、全身状態が普段どおりなら生理的な震えの可能性があります。体が冷たい、反応が鈍い、ぐったりしている場合は受診してください。
2.恐怖・不安・興奮
雷、花火、大きな音、車、知らない場所などへの恐怖や不安で震えることがあります。ただし「怖がっているだけ」と決めつけず、突然始まった震えや痛みのサインがないか確認します。
3.痛み・吐き気
関節痛、脊椎の痛み、外傷、腹痛などで震えることがあります。背中を丸める、触られるのを嫌がる、動きたがらない、足をかばうなどが手がかりです。吐き気では、よだれ、口をくちゃくちゃする、落ち着かない、食欲低下、嘔吐などを伴うことがあります。
4.低血糖
低血糖では震え、脱力、ふらつき、意識状態の変化、けいれんなどが起こります。幼若な小型犬だけでなく、インスリノーマ、重度の肝疾患、敗血症、キシリトール中毒、インスリン投与などでも起こり得ます。
意識が低下している犬や、うまく飲み込めない犬に砂糖水・蜂蜜・食べ物を無理に口から与えないでください。誤嚥する危険があります。
5.中毒・誤食
一部の薬物、殺虫剤、カビ毒を含む食品、キシリトールなどでは、震え、流涎、嘔吐、ふらつき、興奮、けいれんなどがみられます。2025年の犬198例の全身性振戦の研究でも、中毒は重要な原因でした。誤食が疑われる場合は自己判断で吐かせず、食べた物・量・時刻・包装を確認して動物病院へ連絡してください。
6.神経疾患・特発性全身性振戦症候群
特発性全身性振戦症候群(idiopathic generalized tremor syndrome:IGTS)など、全身性の振戦を起こす神経疾患があります。犬種や毛色だけで診断はできません。神経学的検査を行い、必要に応じてMRIや脳脊髄液検査を検討します。
7.けいれん発作
震えとけいれん発作は同じではありません。発作では意識・反応性の変化、四肢の強直や反復運動、流涎、排尿・排便、発作後の混乱などを伴うことがあります。発作が長く続く、短時間に繰り返す場合は緊急性があります。
8.代謝性疾患・全身疾患
電解質異常、肝疾患、腎疾患、副腎皮質機能低下症(アジソン病)などでも、脱力や震えのような症状がみられることがあります。
元気・食欲はあるけれど震える場合は?
元気や食欲が保たれていても原因がないとは限りません。寒さや一時的な緊張など明確な原因があり、原因がなくなると速やかに止まる場合は経過を確認できることがあります。一方、寒くないのに繰り返す、頻度が増えている、特定の姿勢や動作で起こる、痛みやふらつきがある場合は診察をおすすめします。
震えとけいれんを見分けるポイント
振戦(tremor)は、筋肉の収縮による規則的な震えを指します。一方、てんかん発作(epileptic seizure)は脳の異常な電気活動によって起こり、全身のけいれんだけでなく、顔や手足の一部が繰り返し動くこともあります。焦点発作(focal seizure)では意識が保たれる場合もあり、呼びかけに反応するかどうかだけでは区別できません。下の図は観察の参考であり、ご家庭で診断するためのものではありません。

震え・振戦を疑う所見
意識や反応が保たれている/細かく反復する動き/姿勢や動作によって変化することがある
けいれん発作を疑う所見
意識・反応性が変化する/四肢が硬直・反復運動する/流涎・排尿排便を伴うことがある/発作後にぼんやりすることがある
受診の目安
寒さ・一時的な緊張など明確な原因があり、短時間で止まり、元気・食欲・歩行が普段どおり。
寒くないのに繰り返す、頻度が増える、痛がる、食欲低下、嘔吐・下痢、歩き方の変化を伴う。
意識がおかしい、立てない、呼吸が苦しそう、誤食・中毒が疑われる、けいれんが長く続く・繰り返す。
動物病院で行う検査
体温、循環・呼吸状態、痛み、意識状態、神経学的所見を確認し、原因に応じて血糖測定、血液検査、電解質、尿検査、X線・超音波検査などを行います。神経疾患が疑われる場合にはMRIや脳脊髄液検査などを検討します。
原因に合わせた治療と注意点
震えを止めることだけでなく、原因を見つけて対処することが大切です。低血糖では血糖を補正しながら原因を調べ、中毒では原因物質や症状に合わせて治療します。無理に食べさせたり吐かせたりすると、誤嚥などを起こす危険があるため、病院の指示を受けてください。
特発性全身性振戦症候群では、副腎皮質ステロイド薬などで改善することがあります。ただし、飲水量・尿量や食欲の増加、感染症のリスクなどがあり、診断と経過観察が必要です。けいれん発作には抗発作薬を使用することがありますが、薬によって眠気やふらつきなどが起こるため、症状と副作用の両方を確認します。薬の開始・増減・中止は自己判断で行わないでください。
ご自宅でできること
- 安全を確保して発症時刻を確認し、余裕があれば動画撮影する。救急症状があるときは撮影より連絡・受診を優先する
- けいれん中は口に手や物を入れず、無理に押さえつけない。周囲の硬い物を移し、階段などからの転落を防ぐ
- 発症時刻、持続時間、回数、きっかけを記録する
- 寒さが明らかな場合は毛布などで穏やかに保温する。熱い湯たんぽやカイロを体へ直接当てず、熱中症や発熱が疑われるときはむやみに温めない
- 誤食の可能性があれば包装を保管する
- 意識が悪い犬へ水や食べ物を無理に与えない
- 人用の鎮痛薬などを自己判断で投与しない
よくあるご質問
Q.チワワやトイプードルは震えやすいですか?
小型犬では寒さや低血糖の影響を受けやすい場合がありますが、「小型犬だから震えて当然」とは判断できません。寒くないのに繰り返す場合は原因を確認します。
Q.犬がブルブルするのはストレスですか?
恐怖や不安で震えることはありますが、痛み、吐き気、神経疾患、中毒などでも似た動きがみられます。
Q.寝ているときにピクピクします。
睡眠中の一時的な筋肉の動きは、生理的なこともあります。体を揺すらず、離れた位置から優しく声をかけて様子を確認してください。反応がおかしい、全身が硬直する、反復運動が続く場合は動物病院へ連絡します。発作が疑われるときは顔や口に手を近づけないでください。
まとめ
犬の震えは、寒さや不安など一時的なものから、痛み、低血糖、中毒、神経疾患まで原因が幅広い症状です。重要なのは、意識、歩行、食欲、嘔吐・下痢、痛み、誤食の可能性を一緒に確認することです。
国分寺・小平・小金井周辺で、愛犬が寒くないのに震える、震えを繰り返す、元気や歩き方にも変化がある場合はご相談ください。
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参考文献
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- Phillipps S, et al. Idiopathic generalised tremor syndrome in dogs. Vet Rec. 2022;191(9):e1734. doi:10.1002/vetr.1734.
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- Podell M, et al. 2015 ACVIM Small Animal Consensus Statement on Seizure Management in Dogs. J Vet Intern Med. 2016;30(2):477–490.
- Liatis T, Bhatti SFM, De Decker S. Generalized Tremors in Dogs: 198 Cases (2003–2023). J Vet Intern Med. 2025;39(3):e70062. doi:10.1111/jvim.70062.
- Cornell University College of Veterinary Medicine. Idiopathic epilepsy in dogs.
- U.S. Food and Drug Administration. Paws Off! Xylitol is Toxic to Dogs.
- Merck Veterinary Manual. Initial Triage and Resuscitation of Small Animal Emergency Patients.
医療情報確認日:2026年10月17日
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