猫の夜鳴きが増えた|原因・受診目安と自宅でできる対策

夜に鳴く猫の様子を表した説明用の生成画像です。実際の症例写真ではありません。
猫の夜鳴きが増えたときは、鳴く理由と体調の変化を一緒に確認することが大切です。特にシニア猫では、甲状腺機能亢進症、高血圧、関節などの痛み、見え方・聞こえ方の変化、認知機能の低下などが関わることがあります。「高齢だから仕方がない」と受診を先延ばしにせず、いつもとの違いをご相談ください。[1]
夜中に起こされる日が続くと、飼い主様の睡眠や暮らしにも影響します。鳴き声の大きさだけでなく、猫が安心して休めているか、ご家族が無理なくお世話を続けられるかも、診療で一緒に考えたい点です。
夜鳴き以外の変化も確認
「夜鳴き」は病名ではなく、夜間に鳴くという行動の呼び方です。以前から食事前だけ鳴いていたのか、最近になって夜中を歩き回りながら鳴くようになったのかで、確認したいことは変わります。
- 食事と体重:食欲は増えた・減った、体重が落ちた。
- 水と排泄:水を飲む量や尿が増えた、トイレに何度も行く。
- 動き方:ジャンプを避ける、立ち上がりにくい、触られるのを嫌がる。
- 睡眠と反応:昼夜の過ごし方が変わった、慣れた場所で迷う、呼びかけへの反応が変わった。
変化が複数重なる場合もあります。鳴き方だけで原因を見分けることは難しいため、普段の暮らし全体を手がかりにします。[2]
考えられる原因
甲状腺の病気
甲状腺機能亢進症では、甲状腺ホルモンが過剰になり、落ち着きのなさや活動性の変化、食べているのに痩せる、多飲多尿などが見られます。よく食べることだけで「元気」と判断しないことが大切です。夜鳴きと体重減少が一緒にあるときは、診察時にお伝えください。[3]
詳しくは猫が食べているのに痩せる・甲状腺機能亢進症をご覧ください。
高血圧や感覚の変化
高血圧は、目や脳などに影響を及ぼすことがあります。見えにくさや混乱に伴って不安が強くなり、鳴くこともあります。また、聴力や視力の変化が行動に影響する場合もあります。急に物にぶつかる、瞳孔が大きいまま、歩き方がおかしいときは、年齢のせいと考えず、すぐに病院へ連絡してください。[1][4]
痛みや体の不快感
関節や口の痛み、排尿・排便の不快感などが、落ち着かなさや行動の変化として現れることがあります。腎臓病などによる吐き気や喉の渇きも確認が必要です。猫は痛みがあっても鳴かないことがあり、声の有無だけで痛みを判断することはできません。[2]
動き方の変化があれば、猫がジャンプしない・変形性関節症も参考にしてください。
認知機能の低下や不安
高齢の猫では、睡眠のリズムが変わる、慣れた場所で迷う、トイレ以外で排泄する、人との関わり方が変わるといった様子が、認知機能の低下に伴って見られることがあります。ただし、同じような行動は別の病気や痛みでも起こります。夜鳴きだけで認知症と診断することはできません。[5]
生活環境の変化や同居猫との関係なども確認します。病気と環境の問題が同時に関わることもあるため、引っ越しや家族の生活時間が変わった時期もお伝えください。
受診を急ぐサイン
このような場合は、すぐに連絡
- 口を開けて苦しそうに呼吸する、倒れる、意識や反応がおかしい。
- 急に見えなくなった様子、けいれん、立てないほどのふらつきがある。
- 何度も排尿姿勢をとるのに尿が出ない、またはごく少量しか出ない。
診療時間外は、現在対応できる救急の動物病院へ相談してください。LINEの返信や翌日の予約まで待たないでください。
特に尿が出ない状態は、命に関わる尿道閉塞の可能性があります。「夜中に鳴いているだけ」と考えず、トイレでの様子も確認しましょう。[4][6]
食べない、繰り返し吐く、ぐったりする、強く痛がる場合は当日中に病院へ連絡し、受診のタイミングを確認してください。これらがなくても、新しく夜鳴きが始まった、頻度が増えた、体重が減った場合は、次の健診まで長く待たずにご相談ください。
診察で確認すること
まず、いつから・どの時間帯に・どこで鳴くか、鳴く前後に何をしているかを伺います。体重や筋肉量、脱水、口の中、歩き方、痛み、目や神経の状態などを確認し、必要に応じて血液検査、甲状腺ホルモンの検査、尿検査、血圧測定を組み合わせます。検査結果は症状や経過と合わせて判断します。[7]
神経の異常などが疑われる場合は、追加の画像検査や専門施設への紹介を検討します。認知機能の低下についても、診察と必要な検査で他の原因を調べながら評価します。すべての猫に同じ検査を一度に行うわけではなく、体調や負担、ご家族のご希望に合わせて進めます。[8]
ご自宅の記録が手がかりに
可能であれば、鳴き声と体の様子が分かる短い動画をお持ちください。撮影のために鳴かせたり、触って痛みを確かめたりする必要はありません。受診を急ぐ症状があるときは、撮影や記録より連絡を優先します。

診察で伝える内容を整理した図解です。病名を判定するチェック表ではありません。参考文献1・2・7をもとに作成。
メモは「午前3時、廊下で鳴く。声をかけると寝床に戻った」「食事の量は同じだが、抱いたとき軽く感じる」など、実際に見たことを短く書くだけで十分です。投薬中のお薬やサプリメント、過去の検査結果も一緒にお持ちください。
自宅でできる環境の工夫
- 配置を安定させる:使い慣れた寝床・水・食事・トイレの場所を急に変えず、迷わず行けるようにします。
- 移動の負担を減らす:滑りにくい床、低い入口のトイレ、必要に応じたステップを用意します。
- 安心して休める場所をつくる:静かで暖かい寝床を確保し、他の動物から離れて休める選択肢を残します。
- その猫に合う生活リズムを整える:食事や触れ合いの時間をなるべく一定にし、体調に合う短い遊びを取り入れます。
暗い場所で迷いやすければ、足元の小さな照明など、移動しやすくなる工夫を試します。一度に大きく模様替えをせず、猫の反応を見ながら調整しましょう。昼間に無理やり起こし続ける、叱る、大きな音で驚かせる対応は避けてください。環境の工夫だけで体の病気を治せるわけではなく、必要な診察・治療と並行して行います。[1][2][9]
治療は原因に合わせます
甲状腺の病気、高血圧、痛みなどが見つかれば、それぞれの状態に合う治療を行います。体調が整うことで夜間の過ごし方が改善する場合もありますが、複数の原因が重なっていれば、一つの治療だけで鳴き声がなくなるとは限りません。
不安や睡眠の問題が続く場合は、環境調整に加えて薬の使用を検討することがあります。目的は、猫の不安や苦痛を減らし、休息しやすくすることです。一方で、薬の種類によって眠気、ふらつき、嘔吐、他の薬との相互作用などに注意が必要です。持病や腎臓・肝臓の状態、現在のお薬を確認したうえで選び、反応を見ながら調整します。人用の睡眠薬などを自己判断で与えないでください。[8][10]
猫の認知機能に対する治療の研究は、犬ほど十分にそろっていません。サプリメントや食事も「必ず治る」とは言えず、持病に合う食事や必要な治療を妨げないか確認します。鳴いた回数だけでなく、食べる・歩く・安心して眠るといった暮らしの変化を一緒に見ていきます。[5][8]
よくあるご質問
食欲があれば様子を見てよい?
食欲があっても、体重が落ちている場合は受診が必要です。甲状腺の病気などでは、よく食べていても体調が変化しています。夜鳴きが増えた時期と体重・飲水・排尿の変化を合わせて確認してください。[3]
鳴いても無視したほうがよい?
原因を確認する前に、一律に無視することはおすすめしません。痛みや排尿のトラブル、見えにくさなどで困っている可能性があります。まず体調と安全を確認し、病気への対応後に、食事や関わり方を含めた方法をご相談ください。
夜鳴きだけでも相談できますか?
はい。猫の行動の変化に加えて、ご家族の睡眠不足も相談してよい問題です。気づいたことをすべて記録できていなくても構いません。国分寺・小平・小金井周辺で猫の夜鳴きやシニア期の変化が気になる方は、通常診察でご相談ください。体調が落ち着いている場合のご予約には、下のWEB予約をご利用いただけます。
関連:猫の健康診断・シニア期に確認したいこと/猫のおしっこが少ないときの受診目安
参考文献
参照・医学情報確認日:2026年10月18日。
- AAHA/AAFP. 2021 Feline Life Stage Guidelines:Behavior and Environmental Needs—Senior Cats.
- Ray M, et al. 2021 AAFP Feline Senior Care Guidelines. Journal of Feline Medicine and Surgery. 2021;23:613–638. doi:10.1177/1098612X211021538.
- Cornell Feline Health Center. Hyperthyroidism in Cats.
- Cornell Feline Health Center. Hypertension.
- Cornell Feline Health Center. Cognitive Dysfunction.
- Cornell Feline Health Center. Feline Lower Urinary Tract Disease. 尿道閉塞の緊急性を参照。
- AAHA. 2023 Senior Care Guidelines for Dogs and Cats:Evaluating the Unhealthy Senior Pet.
- AAHA. 2023 Senior Care Guidelines for Dogs and Cats:Managing Cognitive Dysfunction and Behavioral Anxiety. 犬の治療成績・承認状況を猫に置き換えず参照。
- Sordo L, Gunn-Moore DA. Cognitive dysfunction in cats: update on neuropathological and behavioural changes plus clinical management. Veterinary Record. 2021;188:e3. doi:10.1002/vetr.3.
- Rodan I, et al. 2022 AAFP/ISFM Cat Friendly Veterinary Interaction Guidelines: Approach and Handling Techniques. doi:10.1177/1098612X221128760. 不安を和らげる薬の安全性情報を参照。
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