犬の歯が抜けた|子犬の生え変わりと成犬の原因・受診目安

子犬の乳歯交換と成犬の永久歯脱落は、原因も受診の考え方も異なります。

犬の歯が抜けたら、まず確認すること

子犬の乳歯が抜けるのは正常な生え変わりのことがあります。一方、成犬の永久歯が自然に抜けることは通常ありません。歯周病や外傷などが隠れている可能性があるため、食欲があっても原因の確認が必要です。抜けた歯があれば保管し、いつ抜けたか、口臭、よだれ、出血、食べ方の変化を記録してください。無理に口を開けたり、ぐらつく歯を引っ張ったりしないでください。

考えられる原因:子犬の乳歯交換

子犬は成長とともに乳歯が永久歯に生え変わります。抜けた乳歯を飲み込んでしまうこともあります。永久歯が生えているのに乳歯が残る乳歯遺残では、咬み合わせや歯垢の蓄積などが問題になる場合があります。治療の必要性は歯の位置と口腔内の状態を確認して判断します。[1]

考えられる原因:成犬の歯周病

成犬の歯のぐらつきや脱落では歯周病が重要です。歯周病は歯肉だけでなく、歯を支える歯根膜や歯槽骨に炎症と破壊が及ぶ病気です。進行すると歯がぐらつき、抜けることがあります。見た目の歯石が少なくても歯肉の下で病変が進行している場合があるため、外観だけでは重症度を判断できません。[1]

考えられる原因:外傷や歯の破折

転倒、衝突、硬いものを噛むことなどによって歯が折れたり、歯槽骨から脱臼したりする場合があります。歯の一部が欠けたのか、歯根を含めて抜けたのかで治療方針は異なります。外傷で抜けた永久歯は時間経過が治療の判断に関係することがあるため、自己判断で元に戻さず、速やかに動物病院へご連絡ください。

そのほかの原因

口腔内の腫瘍や重度の炎症、顎の骨の病気などが歯を支える組織に影響することもあります。全身疾患が口腔の健康や治療計画に関係する場合はありますが、歯が抜けたことをカルシウム不足や甲状腺疾患だけで説明することは適切ではありません。診察所見に応じて鑑別します。

受診目安

強い外傷、止まらない出血、顎の変形、呼吸の異常、著しい痛み、飲食できない場合は、通常の予約を待たず現在診療可能な動物病院へ連絡してください。成犬の歯が突然抜けた、歯がぐらつく、歯ぐきが腫れる、出血や強い口臭がある場合は、できるだけ早く診察を受けてください。元気な子犬で乳歯交換が疑われる場合も、乳歯遺残や咬み合わせが気になれば通常予約で相談してください。

動物病院で行う検査

口腔内の視診、歯のぐらつき、歯肉の状態、咬み合わせなどを確認します。歯周病の進行度や残存歯根、歯槽骨の状態を調べるには、必要に応じて全身麻酔下での歯周検査と歯科用レントゲン検査が重要です。覚醒下の視診だけでは歯肉の下の病変を評価しきれないことがあります。持病や年齢、服薬歴、検査結果を踏まえて麻酔計画を検討します。術前評価を行っても麻酔リスクはゼロにはなりません。[1・2]

原因に応じた治療とリスク

歯周病が進行して歯を支える組織が大きく失われた場合には抜歯を検討します。歯を残せる可能性がある場合は、病変の程度に応じて歯周治療を検討することもあります。抜歯は痛みや感染源の除去につながる一方、麻酔、出血、術後疼痛、創部の治癒などに注意が必要です。鎮痛薬は持病やほかの薬との相互作用に配慮して選択します。抗菌薬はすべての歯周病や歯の脱落に一律に必要なものではありません。[1]

ご自宅での管理

痛がる部位への歯磨きや、ぐらつく歯を引っ張ることは避けてください。硬い骨や非常に硬いおやつ・おもちゃは控え、食べにくい場合は食事を柔らかくするなどの工夫を検討します。人用の鎮痛薬や消毒薬を自己判断で使用しないでください。抜けた歯や口の写真、食事中の様子を記録しておくと診察に役立ちます。歯磨きの再開は、口腔内の状態が落ち着いてから獣医師と相談してください。

よくあるご質問

成犬の歯が1本抜けただけでも受診が必要ですか?

はい。ほかの歯にも歯周病が進行している場合や、歯根が残っている場合があります。食欲があっても診察をおすすめします。

抜けた歯は戻せますか?

外傷による脱臼では専門的な対応が検討されることがありますが、すべての症例で可能ではありません。自己判断で戻さず速やかに相談してください。

歯磨きは続けてよいですか?

出血や痛みがある部位は避け、診察後に再開時期をご相談ください。

まとめ

子犬の乳歯交換と成犬の永久歯脱落は分けて考えることが重要です。成犬で歯が抜けた場合には歯周病や外傷などを疑い、歯根や歯槽骨の状態を含めて評価します。国分寺・小平・小金井周辺で、状態が落ち着いている犬の歯科診察、口臭、歯のぐらつき、麻酔や治療の相談をご希望の場合は通常の診察予約をご利用ください。

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記事作成:国分寺ハートアニマルクリニック

医療情報確認日:2026年10月17日

参考文献

[1]Bellows J, et al. 2019 AAHA Dental Care Guidelines for Dogs and Cats. J Am Anim Hosp Assoc. 2019;55(2):49–69. AAHA公式ガイドライン

[2]Grubb T, et al. 2020 AAHA Anesthesia and Monitoring Guidelines for Dogs and Cats. J Am Anim Hosp Assoc. 2020;56(2):59–82. AAHA公式ガイドライン


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