猫の尿検査で何が分かる?検査結果の見方と再検査の目安
猫の尿検査では、尿の濃さ、蛋白・糖・血液の反応、細胞や結晶などを調べ、腎臓や尿路の状態を考える手がかりを得ます。ただし、検査票の「+」や一つの数値だけで病名が決まるわけではありません。症状、採尿方法、ほかの検査、前回からの変化を合わせて判断します。
「蛋白が出たけれど、すぐ治療が必要?」「結晶があると言われたら、結石なの?」という疑問に向けて、結果を見るときのポイントと再検査の意味を整理します。

尿検査を相談したい変化
水を飲む量や尿の量が増えた、トイレへ行く回数が増えた、赤い尿が出る、トイレ以外で排尿するなどの変化があればご相談ください。いつから、どの程度変わったかを記録しておくと診察に役立ちます。体重や食欲の変化も併せてお知らせください。
多飲多尿では腎臓病や糖尿病など、頻尿や血尿では膀胱・尿道の病気などを考えますが、症状だけで区別することはできません。尿検査は原因を絞るための一つの検査です。
尿道が詰まっている可能性があります。少量しか出ない状態で苦しそう、嘔吐や元気低下がある場合も、すぐに動物病院へ連絡してください。翌日の予約やLINEの返信を待たず、診療時間外は現在対応できる救急病院へ相談しましょう。[1]
結果は大きく3つに分けて見ます
尿の見た目を確認したうえで、尿比重、化学的な反応、尿沈渣などを組み合わせます。検査施設によって報告の形式は異なり、すべての項目が一律に測定されるわけではありません。結果票で分からない記号があれば、その項目が何を意味するかを確認しましょう。[2]

尿比重:尿の濃さを確認
尿比重は、尿がどの程度濃縮されているかを見る目安です。通常は屈折計という機器で測定します。色が薄いか濃いかだけで、尿比重を判断することはできません。[3]
飲水、食事に含まれる水分、点滴、薬、体の水分状態などによっても変わります。「一度薄かったから腎臓病」「濃いから腎臓は必ず正常」とは言い切れません。血液検査や過去の値と合わせて、今の体の状態に対して適切な濃さかを考えます。[3]
試験紙:蛋白・糖・潜血などを確認
試験紙の反応は、詳しい検査へ進む手がかりです。尿の濃さや混入物の影響も受けるため、「+」の数だけを病気の重さと結び付けないことが大切です。人用の試験紙にある項目を、そのまま猫の自己診断に使えるわけでもありません。[2]
尿沈渣:細胞や結晶などを確認
尿沈渣(にょうちんさ)は、尿中の赤血球・白血球、結晶などを調べる検査です。試験紙で血液や蛋白の反応が出たときにも、何が含まれているかを考える助けになります。採尿時の混入や保存の影響を受けるため、採った方法と時刻が重要です。[2,5,6]
よくある結果の読み違い
「蛋白が出た」だけで腎臓病とは限りません
尿蛋白は、腎臓から漏れ出す場合のほか、尿路の炎症や血液の混入などでも認められます。まず尿の濃さ、沈渣、採尿条件を確認し、異常が続くかを見ます。[4]
必要に応じて、尿蛋白/クレアチニン比(UPC)という検査で蛋白の量を評価します。UPCも単独で判断せず、炎症・出血などの影響を検討し、血液検査や血圧と合わせます。腎臓由来の蛋白尿が続く場合には、治療や経過観察を考える重要な情報になります。[4]
「結晶がある」と「結石がある」は別です
結晶は尿中で見つかる小さな粒で、結石そのものではありません。健康な動物でも種類によっては見られ、採尿後の時間経過や冷却によって生じることもあります。新鮮な尿での再確認が必要になる場合があります。[5]
逆に、結石があっても結晶が見つからない場合があります。結石が疑われるときは画像検査などを組み合わせます。結晶の名前だけを見て療法食やサプリメントを選ばず、病状に合う方針を相談しましょう。[1]
「潜血陽性」は見た目が赤くなくても出ます
潜血は、ごく少量の血液成分などにも反応します。尿路の病気のほか、採尿に伴う血液混入の影響も考えます。尿の色、沈渣、症状と照らし合わせて評価するため、赤く見えないから問題ないとも、陽性だから重い病気とも決められません。[2]
「尿糖・ケトン」は全身状態と合わせます
尿糖は糖尿病を考える手がかりですが、血糖や症状、薬の影響などを確認して判断します。ケトンは体のエネルギー利用の変化に関わる項目です。結果だけで判断せず、食べない、吐く、ぐったりするなどの症状があれば当日中に連絡してください。[2]
「pH」や「細菌」だけで治療を決めません
pHは尿の酸性・アルカリ性を示します。食事や検体の条件なども関係し、一度の測定値だけで感染症や結石の種類を確定するものではありません。[2]
細菌が疑われる場合は、採尿時の混入と実際の感染を区別するため、症状に応じて尿培養検査を検討します。細菌が見つかったすべての猫に抗菌薬が必要なわけではありません。[1]
再検査には理由があります
再検査は、最初の結果を無視するということではありません。次のような点を確かめるために行います。
- 一時的な変化か、同じ異常が続いているか。
- 採尿方法や保管時間の影響がなかったか。
- 治療後に症状と結果がどう変わったか。
- 別の検査を追加して、原因を確かめる必要があるか。
再検査の時期は、異常の種類、症状、持病や治療によって異なります。「何日後なら全員大丈夫」とは決めず、次に確認する内容と受診時期をご相談ください。予約日までに症状が悪化した場合は、予定を待たず連絡しましょう。
追加検査の利点と注意点
尿だけでは分からない情報を補うため、必要に応じて血液検査、血圧測定、超音波検査などを組み合わせます。どの検査もすべての病気を一度に見つけられるものではありません。猫への負担、検査で確認したいこと、結果が診療方針にどう関係するかを踏まえて選びます。
尿培養では、外からの混入を減らす目的で、病院で膀胱から直接採尿する方法を検討することがあります。得られる情報に利点がある一方、穿刺に伴う出血などへの配慮が必要です。膀胱の尿量や猫の状態を確認して判断します。[6]
また、結果票だけを見て薬を始めたり中止したりしないでください。抗菌薬などの治療には適応があり、不要な使用には副作用や耐性菌などの問題があります。療法食についても、持病や食欲を含めて継続できる方法を相談します。
家庭で採った尿を持参するとき
当院では、採尿用のスピッツ管とシリンジをお渡ししています。清潔に回収した尿を指定の容器へ入れ、採尿時刻・方法・保管状況をお伝えください。水や消毒液を混ぜず、できるだけ早く持参しましょう。
時間がかかる場合の保管方法や、その尿が検査に使えるかは事前にご相談ください。保存中に成分や細胞の状態が変わるため、「冷やしてあればいつでも同じ結果」とは限りません。[5,6]
トイレの種類に合わせた方法や、シリンジから容器へ移す手順は、猫の尿の取り方|家庭での採尿方法・保管・持参の注意点で詳しくご紹介しています。採れなくても受診を中止せず、ご相談ください。
よくあるご質問
尿検査が正常なら、ほかの検査は不要ですか?
尿検査で異常が見つからなくても、体重減少や多飲多尿などの症状が続く場合は、全身の状態を調べる必要があります。「今回の尿では何が分かったか」と「まだ確認が必要なこと」を分けて考えます。
前回と数値が違うのは悪化したからですか?
必ずしも悪化とは限りません。採尿条件やその日の水分状態も結果に関わります。過去の結果票、服薬や点滴の情報を持参し、同じ項目の推移を確認しましょう。[3,4]
元気な猫にも尿検査を相談できますか?
はい。年齢、持病、過去の検査、暮らしの変化に応じて検査内容をご相談いただけます。健診の機会にも、普段の飲水量やトイレの様子をお知らせください。
検査結果を一緒に確認しましょう
国分寺ハートアニマルクリニックでは、結果票の数値とご家庭での様子を合わせて診療を進めます。国分寺・小平・小金井周辺で猫の尿検査や再検査をご検討の方は、以前の結果票と症状の記録をお持ちください。
受診時には「今回気になる項目」「考えられる原因」「次に確認する検査」「予定より早く連絡すべき症状」を確認しておくと、ご家庭でも変化に気付きやすくなります。
関連記事:猫が水をよく飲む・尿が増える|糖尿病の症状・検査と治療/猫の慢性腎臓病|初期症状・治療と寿命の見通し/猫の血尿・頻尿|何度もトイレに行く原因と受診の目安
参考文献
参照・医学情報確認日:2026年10月20日。監修:国分寺ハートアニマルクリニック 院長・獣医師 牛尾俊之。
- Taylor S, et al. 2025 iCatCare consensus guidelines on the diagnosis and management of lower urinary tract diseases in cats. J Feline Med Surg. 2025. doi:10.1177/1098612X241309176.
- Cornell University, eClinpath. Chemical constituents.
- Cornell University, eClinpath. Concentrating ability.
- International Renal Interest Society (IRIS). Proteinuria.
- Cornell University, eClinpath. Crystals.
- Cornell University, eClinpath. Sample collection.
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